2010/02/11

DRUGS FOR DM


糖尿病講座




糖尿病講座:(21)経口血糖降下薬治療

 糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。それでも良好な血糖コントロールが得られない場合には薬物療法をおこないます。薬物療法を受けていても、食事・運動療法は大切です。
 1型糖尿病では、インスリンの分泌がほぼ完全になくなってしまった状態であるため、インスリン療法が必要となります。2型糖尿病では、まず経口血糖降下薬を用いることが多いのですが、十分なコントロールが得られない場合などはインスリン療法が必要となります。

 ◇ 経口血糖降下薬の分類(図)

 経口血糖降下薬は、次の4つに分類できます。
(1)膵臓を刺激してインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる薬であるスルホニルウレア薬や速効型インスリン分泌促進薬
(2)脂肪細胞から出るアディポカインの異常を正常化し、筋肉での糖の取り込みを促進させ、肝臓からの糖の放出を抑えることでインスリンの働きを改善するチアゾリジン薬
(3)肝臓からの糖の放出を抑えるビグアナイド薬
(4)食物中の糖の消化・吸収を遅らせ、食後の急激な高血糖を抑えるα-グルコシダーゼ薬
 これらの薬を患者さんの状態にあわせて1種類、あるいは作用の異なる複数の薬を組み合わせて治療に用います。

 ◇ インスリンの分泌を増やす薬

 膵臓からのインスリン分泌を増やす薬には、スルホニルウレア(SU)薬と速効型インスリン分泌促進薬の2種類があります(図)
・スルホニルウレア(SU)薬
 スルホニルウレア薬は、膵臓のβ細胞にあるスルホニルウレア(SU)受容体に結合してインスリン分泌を促進することで血糖を下げます。主に空腹時高血糖のために使い、1日1~2回の服用でほぼ1日中効果が持続します。
・速効型インスリン分泌促進薬
 速効型インスリン分泌促進薬の作用も、スルホニルウレア受容体に結合してインスリン分泌を促進する点ではスルホニルウレア薬と同じですが、薬の吸収と消失が速いため、服用してすぐに効き、すぐに効き目がなくなります。その特性を利用して食後高血糖是正のために使われていますので、必ず毎回の食事を始める直前(5~10分以内)に服用してください。薬の服用から食事までに時間を空けてしまうと、低血糖を引き起こしてしまうことがあります。
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ファスティック

 速効性食後血糖降下薬

主成分名:

ナテグリニド

製薬会社:

味ノ素

薬価:

55.30円 (90mg1錠)

 

 主な作用

アミノ酸から導かれた合成化学薬品で、内服後速やかに吸収されてインスリンの分泌を刺激し、血糖を下げます。従来の経口血糖降下薬の主力であったスルホニル尿素(SU)系の製剤は、遅効性、持続性であり、これらでのコントロールが困難とされる、食後血糖上昇が著しい糖尿病のコントロールに期待されます。この薬は糖尿病でも、インスリン分泌が減少した、インスリン非依存性の成人発症型で効果を示します。α-グルコシダーゼ阻害薬やビグアナイド系の糖尿病薬、食事、運動療法が十分な効果を示さず、とくに食後2時間くらいの血糖が200mg/dLを超すようなタイプの糖尿病に用いられます。

 副作用

インスリンの分泌を刺激しますので、低血糖を起こしやすい条件下の患者さんでは、冷汗、著しい脱力感などの症状を起こしやすいので注意が必要です。たとえば、食事がよく摂れない栄養不良状態、衰弱患者、重い感染症、著しい下痢、嘔吐、肝臓疾患、とくに腎臓疾患の人では、強い低血糖症のおそれがあります。また、元気そうな人でも、食事が不規則であったり、激しい筋肉運動や、アルコールの飲み過ぎの場合も危険です。低血糖症のほかには、腹部膨満感、放屁の増加などがありますが、過敏症、心筋梗塞症、突然死などの重大な副作用の報告も例外としてあります。まれに肝障害が起こることがあります。妊娠中、授乳中の婦人や小児、重い腎障害の患者には用いません。また、併用により、異常に作用が強くなったり、弱められたりする薬が少なくありません。たとえば、ほかの血糖降下薬などの糖尿病治療薬、アスピリンなどの消炎・鎮痛薬、痛風症の薬、テトラサイクリンなどの抗生物質、降圧剤のβ遮断薬との併用では作用の増強が、副腎皮質ホルモン薬、甲状腺ホルモン薬、利尿薬、経口結核治療薬などとの併用では、作用が弱められます。服用中の薬があったら、あらかじめ医師に知らせてください。

 服用上の注意

速効性、一過性の薬ですから、錠剤を食事の直前(10分以内)に内服してください。食前の30分も前に飲むと低血糖症を起こしかねませんので、服薬時刻を厳格に守って、毎食前に3回服用します。1回の量、回数は、症状により変えられることがありますので、よく医師の指示を守ってください。効果確認のために、定期的な血糖と糖化グリコヘモグロビン(HbA1c)の検査が行われます。なお、SU剤とは併用しても、効果が増えませんので、併用されることはありません。
味ノ素 ファスティック 本体写真
ファスティック 本体写真
識別コード:AJ2 90
味ノ素 ファスティック 包装写真
ファスティック 包装写真
識別コード:AJ2 90

 ◇ インスリンの働きを改善する薬

 糖尿病で高血糖になる原因は、膵臓のインスリン分泌量が足りないことのほかにも、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)があります。2型糖尿病の多くの患者さんには程度の差こそあれ肥満があることが多く、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となっています。
・チアゾリジン薬
 脂肪組織に作用して、脂肪細胞から出るアディポカインの異常を正常化し、インスリン抵抗性を改善します。その結果、肝臓からの糖の放出を抑制し、筋肉への糖の取り込みを促進することで血糖値を下げます。特に、肥満を伴った糖尿病患者さんに有効で、動脈硬化の進行予防に有効であることも証明されています。
・ビグアナイド薬
メルビン錠
 ビグアナイド薬は、肝臓からの糖の放出を抑えることで血糖値を下げます。体重増加をきたしにくい薬剤であることも特徴です。

 ◇ 糖の吸収を遅くする薬

 食品中のでんぷんなどの多糖類は、唾液・膵液に含まれるアミラーゼにより二糖類(ショ糖など)まで分解され、小腸にあるさまざまな加水分解酵素(α-グルコシダーゼ)によってさらに単糖類(ブドウ糖など)まで分解された後に吸収されます。
・α-グルコシダーゼ阻害薬
 上記の分解酵素の働きを妨げることにより、小腸からの糖の吸収を遅くして、食後の血糖値の上昇を緩やかにする薬です(図)。食事中の糖分の分解を妨げることで効く薬なので、毎回の食事を始める直前に薬を服用する必要があります。
・α-グルコシダーゼ阻害薬服用上の注意
 本薬を服用中に低血糖症状が出てしまった時には、ふつうのスティックシュガーなどに含まれるショ糖(砂糖)では吸収に時間がかかり効きが遅いので、ブドウ糖を常に持ち歩くようにしましょう。手元にブドウ糖がない場合には、市販のブドウ糖を含む飲料を摂取しましょう。
◇ 副作用について
 糖尿病の薬に限らず、薬には目的とする良い作用と、好ましくない作用(副作用)があります。したがって、それぞれの薬にはどのような副作用があるのかを知っておくことが大切です(表)。
メルビン錠




クレストール


高コレステロール血症の治療薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)

主成分名:

ロスバスタチンカルシウム

製薬会社:

アストラゼネカ

薬価:

160.10円 (5mg1錠)

 

 主な作用

今日最も広く用いられているスタチン系の薬剤の一つです。肝臓におけるコレステロールの合成に関与する酵素の作用を阻害することによって、コレステロールの産生を抑制する薬です。スタチン系薬剤は、肝臓内のコレステロール量を減らし、血中のLDLというコレステロールが主成分のリポタンパクを肝臓内へ取り込み、その代謝を促進するので、血中のLDL、すなわちコレステロールの量を減らし、高コレステロール血症の治療に用いられます。また、血中の善玉コレステロールを増やす効果もあります。

 副作用

スタチン系薬物に共通した筋肉障害(横紋筋融解症)、肝機能障害がとくに注意すべきもので、ふくらはぎの筋肉の痛みなどが出たら医師に話してください。血液検査で血清CPK酵素値が異常に上昇しているときは筋肉障害が疑われますので、服薬を中止します。とくに腎機能の悪い人では副作用が現れやすいので注意してください。そのほか、発疹や皮膚のかゆみ、腹痛などが起こることがあります。

 服用上の注意

1日1錠を夕方に内服します。薬用量については病状、病気の性質によってきめられますので主治医の指示に従ってください。
アストラゼネカ クレストール 本体写真
クレストール 本体写真
識別コード:ZD4522 5
アストラゼネカ クレストール 包装写真
クレストール 包装写真
識別コード:ZD4522 5

クレストール錠2.5mg

更新日:2009/10/02
薬には効果(ベネフィット)だけでなく副作用(リスク)があります。副作用をなるべく抑え、効果を最大限に引き出すことが大切です。このために、この薬を使用される患者さんの理解と協力が必要です。
クレストール錠2.5mg
薬価
1錠あたり82.7円
剤形
うすい黄赤色~くすんだ黄赤色の錠剤、直径5.5mm、厚さ3.1mm
シート記載
クレストール2.5、ZD4522
製薬会社
アストラゼネカ株式会社
主成分(一般名)
ロスバスタチンカルシウム(Rosuvastatin calcium)
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この薬の他剤形・容量

同じ主成分の薬

サントリーDHA&EPA
生活習慣が気になる方に。魚パワーとゴマ健康成分を1つに凝縮。
www.suntory-kenko.com/
糖尿病の本当の原因とは?
糖尿は食事制限と運動だけで大丈夫?糖尿とは?糖尿のなぜ?糖尿の原因?
www.nagayoku.com
医師による発毛、育毛治療
薄毛・抜け毛が3ヵ月程度で驚きの改善医師による医学的根拠に基づいた治療
www.men-sos.com/aga.html

この薬の作用と効果について

肝臓でのコレステロール合成に関与するHMG-CoA還元酵素を選択的・競合的に阻害し、コレステロール合成を抑制することにより、血液中のコレステロールを低下させます。
通常、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の治療に用いられます。

次のような方は使う前に必ず担当の医師と薬剤師に伝えてください

以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸、腎機能異常がある。
妊娠または授乳中
他に薬を使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、大衆薬も含めて他に使用中の医薬品に注意してください)。

用法・用量(この薬の使い方)

通常、成人は1回1錠(ロスバスタチンとして2.5mg)を1日1回から服用を開始しますが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には1回2錠(5mg)から服用を開始することもあります。治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。服用開始4週以降に効果が不十分な場合、さらに増量されることがありますが、1日最大用量は8錠(20mg)とされています。必ず指示された服用方法に従ってください。
飲み忘れた場合は、気がついたときにできるだけ早く飲んでください。ただし、次の服用時間がせまっている場合は、1回分とばし、次の通常の服用時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談してください。
医師の指示なしに、自分の判断で飲むのを止めないでください。