2009/12/19

米科学誌サイエンス;穀物として食べられるイネ科植物のソルガムの種子をすりつぶした跡が、アフリカのモザンビークで発掘された約10万年前の石器から見つかった。



人類10万年前から穀物「料理」 アフリカの石器に痕跡

2009年12月19日

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写真:穀物の加工に使われたとみられる石器=カルガリー大提供穀物の加工に使われたとみられる石器=カルガリー大提供

 


穀物として食べられるイネ科植物のソルガムの種子をすりつぶした跡が、アフリカのモザンビークで発掘された約10万年前の石器から見つかった。人類が穀物を食べ始めた時期ははっきりしていないが、信頼できる痕跡としては最も古いものになるという。米科学誌サイエンスで発表された。

 同国北部の都市リシンガに近い石灰岩の洞穴から出た70個の石器を、カナダ・カルガリー大の研究者が調べた。石器の表面にはソルガムのでんぷん粒がたくさん残されており、種子を砕いたり、すりつぶしたりと、「料理」して食べていたらしい。栽培したものではなく、自然に実ったものを集めてきたようだ。

 洞穴で暮らしていたのは現代の私たちと同じ人類であるホモ・サピエンス。中期旧石器時代にあたる当時、人類は食料を狩猟・採集で手に入れており、植物の利用は果実やナッツ、根が中心だったと考えられていた。

 カルガリー大によると、これまでの穀物利用のはっきりした証拠は、1万2千年ほど前のものしか見つかっていなかった。

 総合地球環境学研究所の佐藤洋一郎教授は「分析が間違いないとすれば、約10万年前の『出アフリカ』前後の人類が何を食べていたかを実証した点で価値がある。今後、当時の植生や他に何を食べていたかなど周辺情報が得られれば、さらに説得性のある研究になるだろう」とみている。

首相普天間移設「新たな選択考える」、COP15から帰国の途に



首相、COP15から帰国の途に

 【コペンハーゲン=佐藤理】鳩山由紀夫首相は18日夜(日本時間19日朝)、第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)首脳級会合など一連の日程を終え、政府専用機で帰国の途に就いた。政治合意への調整が難航したことで、出発を当初予定より遅らせた。19日夕に帰国する予定だ。(10:06)



普天間移設「新たな選択考える」 首相、米国務長官に伝達

 【コペンハーゲン=佐藤理】鳩山由紀夫首相は18日夕(日本時間19日未明)、デンマーク女王主催の17日夜の夕食会で、クリントン米国務長官と議論したと同行記者団に語った。沖縄県の米軍普天間基地移設問題で、首相は「新たな選択を考えて努力を始めているところだ。しばらく待ってほしい」と伝達。同県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画以外の移設先の検討に米国の理解を求めた。

 米国の正式な反応は明らかでない。首相によると、クリントン長官は日本政府が普天間問題の結論を先送りした経緯には理解を示したという。

 第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の首脳級会合の途中、同行記者団に語った。2人は1時間半にわたる夕食会で隣り合わせた。クリントン長官の方から普天間問題に関する首相の見解を尋ねた。(11:23)

金正日総書記の訪中説?!



【朝鮮半島ウオッチ】金正日総書記の訪中説、動く側近たち

2009.12.19
このニュースのトピックス北朝鮮
日朝首脳会談で金正日総書記(手前)とともに首脳会談に臨む姜錫柱第一外務次官=平壌の百花園迎賓館(2002年09月17日)日朝首脳会談で金正日総書記(手前)とともに首脳会談に臨む姜錫柱第一外務次官=平壌の百花園迎賓館(2002年09月17日)

 北朝鮮の金正日総書記の訪中に関係国が注目している。ボズワース米特別代表(北朝鮮政策担当)の訪朝で6カ国協議再開へ向け米朝関係が動きだし、核問題進展の見返りとして北朝鮮が朝鮮戦争終結宣言と平和体制構築を強く要求していることを背景に、この問題で中朝首脳会談が行われるのでは-との観測もある。中国の胡錦濤国家主席は今年、1月と10月の2回、金総書記に訪中を招請しており、中国側の態勢は整っているようだ。(久保田るり子)

3人の外交側近

 朝鮮半島関係筋によると、現在の北朝鮮外交を担う金総書記の側近は姜錫柱・第一外務次官と朝鮮労働党の崔泰福・朝鮮労働党書記(国際担当)、同党の金養建・統一戦線部長(大臣に相当)の3人であるという。

 米朝関係の責任者、姜氏はボズワース氏訪朝を担当、オバマ大統領の親書を受け取った。対南(韓国)担当の金養建氏は今夏、韓国の現代グループ会長が訪朝し金総書記と会見した際に金総書記にぴったり寄り添ったほか、故金大中元大統領の弔問団の一員として訪韓している。崔氏は今秋、中朝関係の調整に忙しい。10月末には訪中して胡主席と会見し、11月中旬は平壌で中国共産党幹部訪中団を出迎え会談した。もっぱら中国担当とみられている。

今年で国交樹立60年を迎えた中朝両国の間では1月以来、節目の首脳往来が目立った。健康不安を抱えていた金総書記が半年ぶりに公開の場に出たのは、1月に訪朝した中国の王家瑞・対外連絡部長との会見の席。王氏は胡主席の親書を伝達、このなかで胡氏は訪中を招請し、金総書記は「快諾」した。10月の60周年記念行事の際には温家宝首相が訪朝、金総書記は温氏との会談で「多国間協議への復帰の用意」を表明した。崔氏が10月末に訪中した際、胡氏は再度、金総書記に訪中招請をしている。年に2度の招請を北朝鮮メディアはわざわざ対外報道機関の平壌放送などを通じて国際的に明らかにした。「金総書記訪中準備説」はこのあと高まった。

 この時期、米朝のニューヨーク接触が始まり、一方で金養建氏は10月下旬、「シンガポールで韓国政府要人と接触した」(関係筋)。10月から12月にかけて中朝、南北、米朝を担当する側近3人組が動いており、「3側近の活動は連動している」(観測筋)。北朝鮮はオバマ政権との米朝協議で平和体制への転換を強く求める主張を朝鮮労働党機関紙「労働新聞」などで繰り返している。3人組の接触先はこの問題の当事国。平和体制問題は中朝の指導者による合意が必要との背景も、金総書記の訪中説を後押ししている。

3人の軍・警護要人

 北朝鮮の軍、警備要人の動きも頻繁だ。

 11月中旬に相前後して、国家安全保衛部(公安警察)の禹東則首席副部長、朝鮮人民軍総政治局の金正覚第一副部長が訪中した。12月15日からは人民保安相の朱相成氏も訪中している。国家保衛部は住民の思想監視や国境の密輸など不法行為の取り締まりを守備範囲とする。軍総政治局は軍内査察のほか特殊部隊も受け持つ軍の権力部署で、金正覚氏は北朝鮮の最高権力機関、国防委員会の委員でもある。人民保安省は日本の警察庁に当たる。

 いずれも「金総書記の身辺警護と体制保護業務を担当している」(韓国紙、朝鮮日報)部署であるため、その要人の訪中がまた、訪中準備説との関連で注目されているというわけだ。

 金正日総書記は2000、01、04、06年に訪中しており、今回訪中が実現すれば、ほぼ3年ぶりとなる。

 胡主席が金総書記に度重なる訪中招請を行った理由は、米国の政権交代と金総書記の健康問題が平行した昨夏から北朝鮮が対米強硬路線を取った今春にかけての変化を経て、ポスト金正日体制に向けてた中国の影響力を示したい狙いがあるとみられている。

一方で北朝鮮側は、国際社会に核外交で揺さぶりをかけ、「金正日一族の生き残り」の保障をかけたオバマ政権との交渉をもくろんでいる。中国が米国への影響力を強めるなかで、「中朝カード」はこれまでに増した重要性を持つ。

 また、北朝鮮国内事情から金正日体制は中国の経済支援を欲しているとみられる。12月初旬に断行した貨幣の交換(デノミネーション)はモノ不足、物価高騰、食糧争奪に拍車をかけ、小競り合いや抗議、強奪など混乱が続いている。事態を沈静化させるためには食糧の供給や物資の放出しか打つ手がないが、それには中国の支援が欠かせない。

 北朝鮮専門家は「胡錦濤氏は金総書記に会談ごとに改革・開放を求めてきた。同時に中国には北朝鮮の安定が最優先だ。北側の事情や中国側の関心事からいって首脳会談は時期は近いのではないか」と述べる。早ければ来年早々の訪中説も取りざたされている。





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2009/12/13

どうか、今年は、年越し派遣村がなくてすみますように。




年越し派遣村、今年は…?



新聞案内人の経歴

森 まゆみ  作家・編集者


もり・まゆみ 1954年生まれ(55)。早稲田大学政経学部卒業、東大新聞研究所修了。出版社勤務の後の1984年(30)、友人らと東京で地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(谷根千工房)創刊。
 主な著書に『彰義隊遺聞』(新潮社)、『円朝ざんまい』(平凡社)、『一葉の四季』(岩波新書)、『「即興詩人」のイタリア』(講談社)、『断髪のモダンガール 42人の大正快女伝』(文藝春秋)など。歴史的建造物の保存活動にも取り組む。文化庁文化審議会委員も務める。


 就職氷河期だという。新聞を見ても、大学4年の息子に聞いても内定していない学生が例年になく多いらしい。高校卒はもっと条件が悪い。

 33年前(1976)の自分の「女子大生就職氷河期」を思い出した。
 男女雇用機会均等法(1972年「勤労婦人福祉法」として制定、85年改正で現在名に)の以前は、男子には求人があったが、女子のコーナーには張り紙はほとんどなかった。そこにフジテレビのリポーターの求人が4人あった日には、大学前からフジテレビ方面に行くバスが次々と女子大生で埋まった

 20通ほど履歴書を書いて送ったが、次々書類選考に漏れて、むなしさが募るばかり。そのころ潔癖な若者であった私は、コネで就職することを唾棄し、しかも歯医者の父に会社のコネなどあるはずはなかった。成績も良くないし、特技も資格もなく、こんな私を採用する企業なんてあるわけはないよなあ、と気分は落ち込んでうつ寸前。

 今はインターネットでエントリーするから、履歴書20通でなく、多い人は何百社も受けるのだという。そのストレスたるや私の比ではないにちがいない。でもあの時コネがあったりして運良く商社や銀行に入った女の同級生はみな辞めている。会社で補助業務にしか使われず、結婚や出産や育児ができる体制はなかったから。

 私はフリーで33年働きつづけて来たそれは商社マンや銀行員と結婚した彼女たちのように働かないですむゆとりがなかったせいもあるのだけれど。あきらめないで、と言いたい。

○NHK番組が突きつけた多くの問題

 新卒でない人にとっては、正規の就職はますます至難の業である。

 NHK・ETV特集「作家重松清が考える・働く人の貧困と孤立のゆくえ――『派遣村』の問うたもの」を見た(11月8日)。
 秋葉原連続殺傷事件の容疑者が派遣社員として働いており、契約打ち切りをほのめかされたことがきっかけで犯行に及んだそうである。そのことにはじまり、派遣という労働のあり方がいかに一人一人をバラバラにし、社会的なつながりを持てなくしていくか、それに対して闘う「首都圏青年ユニオン」という個人加盟の労働組合を紹介している。

 彼らは「派遣切り」など不当な解雇をされた仲間を支援して会社相手に団体交渉も行うが、興味深いのは、ユニオンは彼らに会社までの交通費を支給することである。地下鉄の切符代も彼らには「痛い」のだ。

いま、派遣をはじめアルバイト、パートなど非正規雇用の数は増え続け、37%におよぶという。町に出て目に入る、働いている店員さんも掃除のおばさんも宅配や引っ越しサービスのお兄さんも、ほとんどが非正規と見てよい。こうなると正規の職につけないのは自己責任なんかではぜったいない。

 少し前まで、派遣とは「通訳や製図など特殊な技能を持った人が高給で招かれる」といったイメージが強かったが、いまや「産業の縮小、拡大に応じて会社の手を汚さず、都合良く使える人たち」である。その派遣元がどのくらいピンハネをするかは、「コムスン」をはじめとする問題で昨年7月に廃業に追い込まれた派遣会社「グッドウィル」の事件で例証済みだ。

○ずっと前から「派遣切り」は常態化していた

 この番組では、労働者派遣法(1985年施行)の歴史も手際よく整理している。不明を恥じるが、この法律はそもそも「法律によって禁止されていたが、実態として広がっていた派遣を合法化するとともに、派遣社員によって正社員の仕事が奪われることを防止する」法律だったという。派遣社員を守る法律ではない。

 それが、対象業務がなし崩し的に拡大し、小泉新自由主義政権のもとで2003年、製造業への派遣が解禁される。自動車製造の現場でも派遣社員が働き、契約期限に関わりなく派遣切りされる状態が、「派遣切り」という言葉が生まれる前から常態化していた。あるいは偽装請け負などもあとをたたない。

 保育、図書館、相談員などの公共分野の雇用でもパートやアルバイトが多い。わが家のある区でも、図書館のカウンターなど「合理化」の名の下に指定管理者制度で業者が請け負い、その業者が使いやすい労働者を派遣して来るため、前にカウンターにいた近所のおばちゃんが切られ、何となくアットホームな感じが失われた。土地のこともよく知らない若い派遣の人が業者に管理されながら働いている。
番組では、東京都の非正規職員の女性が、子供が熱を出しても休めず、同じ仕事をしている正規職員は子供が熱を出すと有休を取って休むことに、「正規職員の子と非正規職員の子と、命の重さに違いがあるのですか」と泣いて訴えていた。

 37%まで非正規(「非正規」などという言葉ももうおかしい)になった国では「同一労働、同一賃金、同一待遇」にすべきであろう。といってもこの問題を追及すべきテレビ、新聞、出版なども、嘱託パートアルバイが何層にもあるような職場なのだけれど。

 大学もそうだ。自分が正教授であった時、給料を1年のコマ数で割ってみたら、1コマが非常勤講師をしていたころの10倍近くになってソラオソロシクなった。もちろん教授会や入試などの業務も多いのではあるが、非常勤講師はひとコマせいぜい6000円くらい。何かというと「非常勤を使えばいいじゃない」という同僚には腹が立った。非常勤を掛け持ちしても暮らせないのだから。

○残業代もらえぬ「名ばかり管理職」

 かといって正社員がいいかというと、そうともいえない。番組に出ていた24時間の100円ショップの店長さんは正社員だったが、朝まで働き、1時間寝てまた出勤、朝から働き、1ヶ月の労働時間が343.5時間にも及んだが、管理職であるとして残業代が払われなかった。月給を働いた時間で割ると最低賃金を大きく割り込む。体と気持ちに変調を来たして休職に追い込まれた後に、名ばかり管理職」であるとして裁判を起こしている。類似のケースだが、マクドナルドの店長職にあった人が時間外・休日割増賃金などを支払ってもらえなかったとして訴えた裁判で、東京地裁は昨年1月、未払いの割り増し賃金などを支払うよう命じる判決を出している。
この番組からは、いろいろな現実の問題を突きつけられた。長い番組だったが考えるためには何度でも放送してほしい。

 重松清さんが、「取材をした前と後では、風景が変わって見えた」と言っていたが、私もそう。就職も結婚もしない息子や娘に、戸惑ったり、いらだったりしてはいないだろうか。私もその一人だった。

 変わらなければならないのは、子供でなく親の方らしい。一生懸命働けば、暮らしていけるし、家も持てる」というような時代は過去のことになった。自分たちのプライドを守るためには、この社会の仕組みそのものと闘うことあるのみだ、と思う。親もそれを支援しよう。

 どうか、今年は、年越し派遣村がなくてすみますように。