「俺は知らん」朝青龍、理事会聴取で一時居直る
初場所中に泥酔暴力問題を起こした朝青龍の責任を追及した4日の 日本相撲協会の理事会。
2度の中断を挟み、強硬に「処分」を主張する役員と、「 徹底調査」を求める親方衆が対立したという。 二つの意見の応酬が、 25回の優勝を誇った横綱を引退に追い込んだ。
強硬派の筆頭は、外部役員で元警視総監の吉野準監事だった。「 即刻、解雇すべきだ」といった趣旨の発言に、 会議室の空気は一気に緊張感が高まった。 これに元東京高検検事長の村山弘義理事も同調。 新任の貴乃花理事や武蔵川理事長、二所ノ関、 放駒の両理事も賛同した。
こうした意見に対し、元理事長の北の湖、九重、 友綱の3理事が一斉に反発した。「 時津風部屋の力士死亡事件の時は何度も聴取を重ねた。 相手があることでもあり、よく調べなければいけない」と主張。 さらに、「弁明の機会を与えるべきだ」と求めた。吉野監事は「 調べるならば、今すぐ呼べばいい」と応じた。
強硬派の親方衆にも「当事者の話は聞くべきだ」との声があり、 理事会を一時中断し、 朝青龍と師匠の高砂親方の事情聴取が午後1時10分過ぎに始まっ た。横綱は「酔っていてよく覚えていない」「殴った覚えはない」 と弁明した。吉野監事らが厳しく追及すると、「 俺はそんなことは知らん」と居直る一幕もあった。
午後2時半、最後の会議が始まる前、理事会は、 朝青龍に引退の意向があることを確認した。だが、 朝青龍の腹が固まらなかったため、「考える時間を与えては」 との意見が出た。
協議は多数決に移り、 処分を求める親方5人に外部理事2人が加わり、「きょう、 処分を出すべきだ」との意見が7人で、反対の5人を上回った。 さらに、理事会の空気は、「解雇」よりも、協会の面目も保てる「 引退」に傾いていった。
この結果を受け、九重、 二所ノ関の両親方らが朝青龍と高砂親方を説得し、この日の「 引責引退」が決まった。
実は、武蔵川理事長は役員改選前から、「自主的な引退」を、 この問題の落としどころにしたかったといわれる。 師匠の高砂親方には、「引退届は4日の午前10時まで待つ」 と伝えたという。 相撲協会が友綱理事を委員長とする調査委員会を設置したことで、 「調査継続」の空気が流れたこともあり、高砂親方は「 朝青龍引退」への説得を躊躇ちゅうちょしたと見られる。
「朝青龍強すぎ引退強制」モンゴル紙対日批判
【北京=関泰晴】モンゴル外務省は5日、 元横綱朝青龍の引退に関連して、 冷静な対応を求める異例の声明を発表した。
声明は「 日本とモンゴルの両国関係に影響を与えることがないと信じる」 と期待を示した上で、複雑な両国の国民感情に「理解」を示した。
首都ウランバートルなどで、「 外国人力士の活躍を嫌う日本相撲協会の圧力があった」として、 日本への抗議活動を呼びかける動きがあったためだ。
モンゴルでは、 国民的英雄となった朝青龍を擁護する意見が多数派で、 新聞各紙は5日、「朝青龍は強すぎるので引退に追い込まれた」 などと対日批判を繰り広げている。
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