真央が逆転で金、ヨナは2位…世界フィギュア
【トリノ(イタリア)=近藤雄二】フィギュアスケートの世界選手権最終日は27日、イタリアのトリノで女子フリーが行われ、バンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央(19)(中京大)が、ショートプログラム(SP)2位から逆転優勝を果たした。
フリーで2位となった浅田は、合計197・58点で、2008年以来2度目の世界女王に輝いた。高橋大輔(関大大学院)とともに、日本初となる男女アベック優勝を果たした。2位は金妍児キムヨナ(韓国)。日本人女子で世界選手権を制したのは5人だが、2度の優勝は初めて。
真央「ほぼ完璧」、五輪雪辱果たし会心の笑み
フィニッシュで掲げた両手を、力強く振り下ろした。
「出し切った――」。五輪まで征服し切れなかった重厚な曲「鐘」を、ついにねじ伏せた満足感が、氷上にあふれた。
SPでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が回転不足とされ、フリーでは「迷い」が心配された。しかし、浅田真央は動じなかった。1回目は難なく成功。2回目は回転不足を取られたが、その後はミスがなかった。演技終了後は、今季はほとんど見られなかった会心の笑みで、喝采かっさいに応えた。
宿命の「真央・ヨナ」対決を分けたのは、パーフェクトを求める心だった。五輪で世界最高記録を塗り替えた女王ヨナは、燃え尽きたからか体調も万全でなかった。浅田は朝の公式練習でも、最後まで一人、自身の滑りを確認し続けていた。
「今季は1度もフリーを完璧かんぺきに演じてない。納得のいく滑りをして終わりたい」。トリノ入りして、そう繰り返した浅田。五輪の疲れは言い訳にしない。理想だけを追う真摯しんしな思いが、宿命対決の明暗を分けた。
今季前半はスケート人生最大のスランプを経験し、五輪では「銀の涙」にくれた。しかし、壁に当たっても逃げず、19歳の心は鋼になった。
「五輪でミスしたジャンプも跳べ、最後のステップには力強さを込めた。自分の中では、ほぼパーフェクト。それが本当にうれしい」
4年前に年齢制限で出場を阻まれた五輪の地トリノで響かせた「金の鐘」。バンクーバーでの涙を振り払う、まぶしい笑顔が、やっとはじけた。
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